【連載】3割で前に進む組織論|第4回

― VUCA時代の実行と学習のマネジメント

実行を生むマネージャーの4つの役割

第3回では、

多くの組織で「実行しないほうが合理的になる構造」が

どのように生まれるのかを見てきた。

重要なのは、

この構造は個人の意識改革では変わらない、という点だ。

では、誰が何をすべきなのか。

答えは明確で、

マネージャーの役割を再定義することにある。

VUCAの時代におけるマネージャーの仕事は、

正解を出すことではない。

実行が自然に起きる前提条件を整えることだ。

役割① 判断を「正解」ではなく「仮説」として置く

多くの実行が止まる理由は、

判断が「正解」として扱われてしまうことにある。

正解だと宣言された判断は、

失敗が許されない。

その結果、現場は慎重になり、

動けなくなる。

マネージャーがやるべきことは、

判断をこう言い換えることだ。

「これは正解ではない。今の前提で立てた仮説だ」

この一言で、

実行は勝負から実験に変わる。

役割② 「3割でいい」を言語化する

3割で前に進むという考え方は、

頭で理解しているだけでは機能しない。

マネージャーが、言葉にする必要がある。

・7割は外れる前提でいい

・むしろ、外れたら学ぶ

・当たらなくても、止まらない

このメッセージが明確に出ると、

現場は初めて安心して動ける。

沈黙は、

「失敗は許されない」というサインになる。

役割③ 失敗の扱い方を、事前に決めておく

実行を止める最大の不安は、

失敗そのものではない。

失敗したとき、どう扱われるか分からないこと

が不安なのだ。

だからマネージャーは、

実行の前に、こう決めておく必要がある。

・失敗は報告対象にする

・責任追及はしない

・学習に変換する

失敗後の扱いが明確になると、

実行の心理コストは一気に下がる。

役割④ 「なぜ動かないのか」ではなく「何が止めているのか」を聞く

実行が起きないとき、

多くのマネージャーはこう聞いてしまう。

「なぜ、まだやっていないのか」

この問いは、

無意識のうちに個人を責める。

代わりに、こう聞くべきだ。

「何が実行を止めている?」

この問いは、

人ではなく構造に目を向けさせる。

・判断が曖昧なのか

・責任が不明確なのか

・修正ができない設計なのか

ここが見えない限り、

実行は再現されない。

マネージャーは「進ませる人」ではない

ここで誤解してはいけない。

マネージャーの役割は、

部下を叱咤して進ませることではない。

進めば合理的になる状態を、先につくること

それが、

VUCA時代のマネジメントである。

実行は、管理ではなく設計から生まれる

管理を強めると、

短期的には動くかもしれない。

だがそれは、

恐怖や義務による実行だ。

長く続くのは、

設計によって生まれた実行だけである。

第4回のまとめ

VUCA時代における

マネージャーの役割は、

  1. 判断を仮説として置く
  2. 3割でいいと明言する
  3. 失敗の扱いを先に決める
  4. 実行を止めている構造を問い続ける

この4つに集約される。

次回、最終回では、

こうした取り組みを一過性で終わらせず、

学習が回り続ける組織をどう維持するか

を扱う。

仕組みとして、

文化として、

何を残すべきなのか。

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